墨古沢遺跡

2019年10月15日

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墨古沢遺跡とは?

墨古沢遺跡は今から3万4000年前の旧石器時代(後期旧石器時代前半期)に属する遺跡です。この遺跡は、「石器ブロック」と呼ばれる石器の分布が集中する場所が、円環状に配置された「環状ブロック群」と呼ばれるもので、円環部の大きさが南北70m、東西60m、石器の数は1万点に迫ると予測される日本最大級の規模を誇ります。

 

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【平成27年度調査航空写真】

 

 

 

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【墨古沢遺跡の位置と周辺地形図】


 

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墨古沢遺跡発見石器分布図】
   左図の灰色の丸で示した石器はすべて取り上げ、現地に残っていませんが、北側および東側で見つかった赤丸で示した石器はすべて現地  に発見時のまま残されてお り、遺跡の6割強が保存されています。

 


 


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【遺跡調査風景】


 

【石器ブロック】

旧石器時代の遺跡では、石器が限られた範囲から集中して見つかるのが一般的です。これを「石器ブロック」と呼びます。墨古沢遺跡では、この石器ブロックが約60ヶ所発見されています。石器ブロックは、旧石器時代の人々が石器を製作、または使用した生活の痕跡だと考えられます。

 

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平成27年度調査検出石器ブロック

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平成29年度調査検出石器ブロック
※発見された石器は土のタワーの上に残してあります。


狩人の道具

旧石器時代における人々の生業は、狩猟を中心としたものでした。そして獲物を追いかけながら移動を繰り返す、遊動生活を営んでいました。墨古沢遺跡から出土する石器には、このような生活を送っていた狩人の道具が見られます。槍の先に使ったナイフ形石器や台形様石器、毛皮などを加工するための削器や石錐などが発掘されました。

 

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出土石器(左2点:ナイフ形石器・右上下段6点:台形様石器)
〔右下段左2点:玉髄(メノウ含む)・右下段右1点:トロトロ石・他はガラス質黒色安山岩〕

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出土石器(上段2点:削器・下段2点:石錐)
〔左上:ガラス質黒色安山岩・左下:黒曜石・右2点:玉髄(メノウ含む)〕

 

 【石器の接合】

石器はおおもとの石(原石)から薄い石片(剥片)を打ちはがして、それにさらに形を整えるなどの加工をしてつくられます。

 同一の原石から作られた石器は、お互いにくっ付き元の原石の状態に戻る場合もあります。これを「石器の接合」と言います。墨古沢遺跡では石器の接合が多く見られますが、これは、この遺跡で生活していた人々が石材を共有し、石器を一緒に作るなどつながりを持ち、同時代に生活していたことを物語ります。

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石器の作り方(2004『印旛の原始・古代-旧石器時代編-』印旛郡市文化財センターより引用)

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墨古沢遺跡の石器接合資料

〔下段右:トロトロ石・他はガラス質黒色安山岩〕

 

様々な地域からもたらされた石材

墨古沢遺跡では群馬県産のガラス質黒色安山岩や茨城県産の玉髄(メノウ含む)、栃木県・信州・神津島の黒曜石、東北地方産と思われる硬質頁岩など、様々な、また広範囲の地域から石材が持ち込まれています。これらの石材原産地を調べることにより、墨古沢遺跡で生活していた旧石器時代の人々の移動範囲やルートが明らかになるかもしれません。

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黒曜石(上段左3点:信州産・上段右2点:神津島産・下段3点:高原山(栃木県)産)

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硬質頁岩(東北地方産)


 

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【石器石材の搬入】(2004『印旛の原始・古代-旧石器時代編-』印旛郡市文化財センターより引用)

石器に使用する材料は、石なら何でもよいと言うわけではなく、黒曜石に代表されるように加工しやすく、割れ口の鋭(するど)い石を選択します。しかし千葉県はかつて「石なし県」と呼ばれたほど、良質な石器石材の原産地がわずかしかなく、多方面から多種類の石材の搬入が見られています。

墨古沢遺跡では全体の7割以上にガラス質黒色安山岩が用いられていますが、理化学的な分析の結果、これらは群馬県から持ち込まれた可能性が高いものであることがわかりました。


 

 発掘調査の成果と今後の展望

墨古沢遺跡の環状ブロック群の発見のきっかけは、平成11・12年度に酒々井パーキングエリア(上り線)の拡張工事に伴い行われた発掘調査によるものです。酒々井町では、日本の旧石器時代を特徴づけ、かつ日本最大級ともなる環状ブロック群の遺跡である墨古沢遺跡の保存及び活用を目指して、その規模や形状、遺存状況を確認するため平成27年度から3年間かけて範囲確認調査を実施しました。保存を目的としているため、今回の発掘調査では出土した石器は取り上げず、位置や写真などの記録情報を取った後、そのまま埋め戻しています。

また発掘調査のみならず、出土遺物や遺跡の土層・堆積物の理化学的分析などからこの遺跡を特徴づける様々なことがわかり、大きな成果を得ることができました。先ほど紹介した石器石材の産地推定のみならず、石器と一緒に出土した炭化物から年代測定を行った結果、この遺跡が形成された年代が約3万4000年前であることがわかったことも大きな成果のひとつです。

そして令和元年、これまでの発掘調査成果や分析・研究成果より、遺跡の重要性が認められ、国の史跡に指定されることが決まりました。関東の旧石器時代の史跡としては3例目、環状ブロック群としては国内初、国内のすべての国史跡の中で最も古い国史跡ということになります。今後は一般の人々にはあまりなじみのない旧石器時代、環状ブロック群が地域を形成する基となる歴史の1ページとしてあること、酒々井町に全国に誇れる旧石器時代の遺跡が存在していることを広く知っていただけるような周知・活用・整備事業ができればと考えています。

酒々井パーキングエリアの発掘調査で出土した石器の一部は酒々井コミュニティプラザで常設展示が行われております。ぜひ一度足をお運びいただき、「日本人のふるさと」ともなる悠久の歴史に触れてみてはいかがでしょうか。

 

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お問い合わせ

生涯学習課
文化財班
電話(内線):043-496-5334
ファクシミリ:043-496-5323
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